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  • 強拍基準
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  • 強拍基準の特徴
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  • スイングでの強拍基準と弱拍基準
    • 弱拍基準で演奏されるスイング
    • 強拍基準で演奏されるスイング
    • リズムと言霊
    • 付録 2⁻ⁿグルーヴのビデオ集
  1. 超グルーヴハイパーグルーヴ理論
  2. 弱拍天動説と強拍地動説

弱拍天動説と強拍地動説

人はかつて地球が宇宙の中心に存在すると信じていました。人間が、自分が立っている場所が動いているということを理解するまでに何百年もの時間が必要でした。これと同じことが音楽のリズムでも起こっています。 音楽のリズムでも「 弱拍の位置は動かない「強拍の位置が動いている」しかし強拍の上に立っている人は、そのことが認識できず弱拍の不可解な動きに頭を悩ませるのです。 ─── この弱拍の不可解な動きを簡単に説明するものがこの弱拍天動説です。

日本と外国で異なるタイミングニュアンスの付け方

日本の音楽と海外の音楽を比較するとタイミングのニュアンスの付け方に大きな違いがあります。それは強拍・弱拍がある時に基準とする音符の違いです。

日本人はタイミングをずらして音符のニュアンスをつけようとする時に、無意識のうちに強拍に基準を置き強拍の位置を固定したうで、強拍位置から弱拍の位置を測り、弱拍の位置を移動しようとするのです。 ─── それはもしかすると日本人としては当然のことだと感じるかも知れませんが、実はそれは世界に目を向けてみると、全く違うのです。

外国の人々はこの点について全く違った常識を持っています。

外国の人々はタイミングをずらして音符のニュアンスをつけようとする時に、無意識のうちに弱拍に基準を置き弱拍の位置を固定したうで、弱拍位置から強拍の位置を測り、強拍の位置を移動しようとするのです。

強拍基準

強拍に基準を置き強拍の位置を固定したうで、強拍位置から弱拍の位置を測り、弱拍の位置を移動しようとすることを、強拍基準と呼びます。

弱拍基準

弱拍に基準を置き弱拍の位置を固定したうで、弱拍位置から強拍の位置を測り、強拍の位置を移動しようとすることを、弱拍基準 と呼びます。

弱拍基準の特徴

弱強リズム認識を持つ人(=ストレス拍リズム言語を母国語として話す人)は、リズムニュアンスを演奏する時に、弱拍位置を基準位置として固定し強拍位置を移動することでニュアンスを醸し出す習慣を持っています。これはほぼどんなジャズ、どんなファンク、どんなR&Bを聴いても表れる表現手法ですが、特に次のビデオはとても観察しやすく参考になるでしょう。

レイドバックの基本『オフビートの位置は固定。オンビートの位置が遅れる』 ギターの方がこの演奏中でそれをはっきり行っています。

これを日本人が聴くとオンビートの位置が固定でオフビートの位置が早くなったように錯覚するため、同じ様に演奏することが出来ません。 #オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/QC9uaA2F4h

— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) April 23, 2023

強拍基準の特徴

一方、強弱リズム認識を持つ人(=モーラ拍リズム言語を母国語として話す人)は、リズムニュアンスを演奏する時に、弱強リズム認識を持つ人と全く逆に、強拍位置を基準位置として固定し弱拍位置を移動することでニュアンスを醸し出す習慣を持っています。

ずれのない歯ざわりのよい頭拍。朗々と歌うレイドバック。渋みと哀愁 ─── 演歌の素晴らしさがつまっている。

氷川きよしのずんどこ節https://t.co/xKDWfdwEC3 pic.twitter.com/nN06TRy28c

— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) October 8, 2023

なお日本の演歌では、伴奏側が強拍位置を基準位置を固定する役割を担い、歌唱者はその固定した強拍位置に対して、自分自身の演奏する強拍と弱拍の両方を移動することでニュアンスを演奏するという習慣があります。これは弱拍の位置が必ず固定になる弱強リズム認識と大きく異なる特徴です。

弱拍天動説と強拍地動説

この時、強弱リズム認識を持っている人は、この弱強リズム認識を持っている人のリズム認識を正しく認識することが出来ないという現象が起こります。

強弱リズム認識の人が弱強リズム認識のニュアンスが理解出来ない様子はあたかも、天体の動きを天動説で捉えると理解が困難になる様子とにています。

『ジャズのリズムはオフビートが基準点!』
オフビート基準点 ⇔ オンビート基準点

オンビートを基準にして考えると、基準点自体が動いてしまうことから、音符ずれの動きが全て矛盾して見えてしまう。オフビートを基準点にして考えると、とても単純に解釈できる。 pic.twitter.com/muwn40MxLD

— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) May 1, 2022

弱拍の位置が基準になっていることに気付けば全ては単純な動作に見えますが、強拍位置が基準になっていると認識していると途端に全てが複雑な動作となって見えてきます。

移動しているのは、自分が足をおいている強拍だった ─── それに気付く瞬間はまるで、天動説の人々が太陽が動いていると思っていたものが、実は自分たちが立っている地球自身が動いていると気付く瞬間ととても似ています。

スイングでの強拍基準と弱拍基準

強拍基準と弱拍基準の区別は、スイングを演奏しようとする時にとても大きな意味合いを帯びます。

弱拍基準で演奏されるスイング

ストレス拍リズム(英語)のスイング ─── ベースが1/9早めのタイミングに移動しライドシンバルの8分弱拍が4分音符に対して5/9の位置に配置されている。また4分音符は全て1/9遅れている。 #オフビートで思考する語学 (訂正版) pic.twitter.com/QajecpWuqP

— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) June 11, 2025

強拍基準で演奏されるスイング

モーラ拍リズム(日本語)のスイング ─── 俗に「頭重心」「縦乗り」という。ライドシンバルの4分音符が基準位置になっているため移動しない。ベースが1/32 遅めのタイミングに移動し遅れる等々、全ての打点が4分音符よりも後ろに遅れて配置され音量が小さい。 #オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/KMnIJYQXmC

— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) June 9, 2025

リズムと言霊

強拍基準で演奏されるスイングは、スイングを母国語文化として認識している人にとっては大変に苦痛なものです。それは弱拍基準と強拍基準の区別がつかない日本人にとっては些細な違いでしかありません。それくらい細かいことをいうな、といいたくなることも無理もありません。しかし外国の人々にとっては、それが言語上のリズムと結びついることから、ほんの些細なリズムの違いであってもそれは大変に大きな感覚上の違いとなって認識されるものです。

リズムは日本の言霊ことたまに相当するものです。これまで見てきたように音楽は言語です。言霊は古くから言霊剣ことたまつるぎと呼ばれてきたように、使い方によっては人を活かすことも人を殺すこともあるものです。リズムは外国の人々にとって言葉なのです。この武器でもある言葉を、子供が遊ぶ玩具のようにもてあそんでしまうと、それは誤って人を傷つけてしまうこともあるものです。

異国文化を学ぶものとして、この様な感覚の違いには常に謙虚にありたいものです。

ジャズは、リズム遊びと言われています ─── ジャズ演奏者として リズムは剣つるぎのように危険なもの であり 人を殺せるような危険なもので遊んでいるのだ ─── とはっきり認識して、覚悟をもって演奏にあたりたいものです。

付録 2⁻ⁿグルーヴのビデオ集

欧米/東南アジアの交互に手を叩く「交互ルール」リズムに対して、真逆のルール「同時ルール」で歌う演歌。演歌のリズムの起源は中国にある。日本の演歌は(実は)中国で高い人気がある。

Credit : 蒋大为 - 北国之春 https://t.co/TtRu1Sfo52#オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/DsjR7NPhL4

— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) June 15, 2023

二葉百合子の『関東一本〆』

正統派演歌の語法
・ぴったりに合わせる強拍
・後ろにつく弱拍
・揺れる強拍

Credit : 二葉百合子 - 関東一本〆https://t.co/Pz122I6Hhv#オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/3M68PZ4gbP

— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) June 15, 2023

目次

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