律武道リズムドウ 〜 rhythmdo.com
  • トップに戻る
  1. 超グルーヴハイパーグルーヴ理論
  2. 英語の正しい発音法
  • 超グルーヴハイパーグルーヴ理論
    • はじめに
    • グルーヴ四原則とは
    • 何故日本人は縦乗りなのか
    • 強拍が先か弱拍が先かリズモクロニック・アナリシス
    • 音韻学的音楽分析フォノリズマトロジー
    • 日本人モーラ拍リズム言語話者への手紙
    • 分裂拍シゾリスモスと孤立拍ソリリスモス
    • 韻律ミータとは
    • 多層弱拍基軸律動Multi-Layered Weak-Beat Precedence
    • 多次元ディヴィジョン空間
    • 発音よりもリズムの正確さ
    • 世界は3⁻ⁿ拍子で出来ている
    • 3⁻ⁿグルーヴと2⁻ⁿグルーヴ
    • 分散グルーヴ理論
    • 弱拍天動説と強拍地動説
    • オフビートカウント入門
    • リズム認識型とリズム感
    • オフビートカウントで英語リスニングを極める
    • 日本人モーラ拍リズム言語話者の為のエチュード
    • 英語の正しい発音法
    • オフビートカウントの正しい発音
    • 多層弱拍先行ポリリズム
    • 縦乗りのメカニズム
    • 日本語話者の認識偏り
    • 縦乗りの精神構造
    • 縦乗りの存在に気付く
  • 律武道リズムドウ入門の御案内
  • 律武道リズムドウとは

On this page

  • 英語でのリズム練習の重要性
  • 英語の発音は変化する
  • 英語の全方言で現れる母音一覧
    • 単母音
    • 二重母音(滑り音)
    • r 付き(r-colored)複合
  • 英語の全方言で現れる子音一覧
    • 破裂音 (Plosives)
    • 破擦音 (Affricates)
    • 摩擦音 (Fricatives)
    • 鼻音 (Nasals)
    • 接近音 (Approximants)
    • 側面接近音 (Lateral Approximants)
  • 英語の方言の一覧
  • 英語の方言の略称
  • 英語の方言による子音変化の一覧
  • 英語の方言による子音変化の地方別マトリックス
  • IPAの全調音点(Places of Articulation)一覧
  • IPAでの全調音法(Manners of Articulation)一覧
    • 1. 破裂音 (Plosives)
    • 2. 鼻音 (Nasals)
    • 3. 震え音 (Trills)
    • 4. はじき音 (Taps/Flaps)
    • 5. 摩擦音 (Fricatives)
    • 6. 側面摩擦音 (Lateral Fricatives)
    • 7. 接近音 (Approximants)
    • 8. 側面接近音 (Lateral Approximants)
  • 英語の音韻学の用語集
    • 調音点(Places of Articulation)
    • 調音様式(Manners of Articulation)
    • 音声過程(Phonological Processes)
    • その他の基本用語(Other Key Terms)
  1. 超グルーヴハイパーグルーヴ理論
  2. 英語の正しい発音法

英語の正しい発音法

この節ではオフビートカウントと音韻学の関係を説明し、オフビートカウントを行う上での適切な発音方法について学びます。 リズムに合わせて英語で数字の数えるときのその発音とリズムだけに絞って完璧に習得すると、英語全体の話す能力と聞き取る能力が完璧になります。またこの練習方法はジャズなどの音楽でのグルーヴ能力を大幅に向上させます。

英語でのリズム練習の重要性

日本の英語教育で教わる英語の発音の知識は、明らかに不足しています。 ここでは不足している知識に絞って重点的に説明致します。

英語を学ぶ歳、日本語と英語の発音の違いを学ぶことを全てに優先すべきです。英語の意味はわからなくても英語が聴き取れるという状態を作ってから英語を学ぶことで以降の英語の学習効果を劇的に向上させることが出来るからです。

英語の発音が聴き取れていれば、英語の全ての知識はぼんやりと英語の情報にふれているだけで自然に身についていきます。何故ならセサミストリートを始め、英語させ聴き取れれば英語の教材は無数に存在するからです。 音楽を聞いていても、映画を見ていても、ぼんやりとインターネットを見ているときでも、ぼんやりとYouTubeを見ながら時間を溶かしていても、ぼんやりとねっころがりながら x/ツイッター を眺めてているだけでも、英語の知識は身についていきます。

こう考えると素晴らしいことのように思えます。そんな夢のようなことがある筈ないと仰るかも知れません。

しかし逆の状況を考えると悲惨です ─── どんなに勉強しても英語の発音が聴き取れなければ何も意味がないからです。

どんなに英単語をたくさん覚えても眼の前にある単語を聴き取ることすらできません。

どんなに英文法をたくさん勉強しても、眼の前にある文法に気付くことすらできません。

どんなに長文読解を行っても、映画すら見て理解することが出来ません。

どんなに発音練習をしても、相手から言い返された反応が聴き取れません。

日本語は、表意文字の文化です。文字が発音から乖離して浮遊しているという世界的に見てとても珍しい言語です。

しかし英語は、表音文字の文化です。発音と意味が密接に結びついており、発音が理解出来ない限り、意味も理解出来ないのです。

発音がわからない状態でいくら英語の知識を学んでも、無限のたゆまぬ努力の時間を必要とするだけで、何の有意義な結果も生み出しません。

全ての勉強よりも、発音の訓練を優先する。

日本人が理解出来ないものは、発音ではなく、リズムです。

日本語は子音よりも母音が長いという世界的にも稀に見る珍しい言語です。

だから母音よりも子音を長くする必要があります。

すると何が起こるかというと、裏拍が聴き取れない日本人のジレンマとぶつかるのです。

つまり必要なのは、発音練習ではなくリズムトレーニングなのです。

英語の発音は変化する

英語には標準語がありません。ロシア語・フランス語・ドイツ語は、政府機関が国の標準語を定めています。しかし英語にはこの様な公式な標準語制定機関が存在しません。その代わりに、いくつかの「標準英語の提案」を行っている有力な機関がありますが、強制力までは持っていません。

つまり英語は、沢山の方言があります。つまり、英語の正しい発音を学べば学ぶほど、英語は聴き取れなくなっていきます ─── これは初学者にとって、最初にぶつかる最大の関門です。

これに対処するためには「英語を学び始めた最初から訛りに対する知識を身につける」しかありません。こういうととても難しいことのように思えますが、実は英語の訛りの規則は、とてもよく研究されており、コンパクトにまとまっています。

ジャズのリズムと米国南部方言には強い関連性があります。そしてAAVEと呼ばれる『黒人英語』は、ジャズのリズムとは切っても切り離せない深い関連性があります。ジャズを学ぶためには英語の発音を学ぶ事が大切ですが、特にこの米国南部方言と黒人英語の2つの英語の方言を学ぶことはとても重要です。

ここでは標準的な英語と数多く存在する英語の方言の理解に必要な発音を順に学んでいきます。

英語の全方言で現れる母音一覧

単母音

IPA 実例 舌の位置 説明
/i/ (beat) 高・前 日本語「イー」より前で緊張、口は横に。
/ɪ/ (bit) 高・前 「イ」だが力を抜く。「イ」と「エ」の間、短い。
/ɛ/ (bet) 中・前 日本語「エ」より低く開く、横に広げる。
/æ/ (bat) 低・前 大きく開く。「アとエの間」。日本語に無い。
/ɑ/ (father) 低・後 唇広め、喉奥で「ア」。
/ɔ/ (thought) 中・後 軽く丸めた「オー」。※多くの米語で /ɑ/ と合流。
/ʊ/ (book) 高・後 力を抜く。「ウとオの間」、軽く丸める。
/u/ (boot) 高・後 緊張。「ウー」より強く丸め後方。
/ʌ/ (strut) 中央・短く平ら 「アとオの間」。日本語に無い。
/ə/ (sofa) 弱勢の中央母音=『シュワ』と呼ばれる。短く弱い曖昧な母音。
/ɝ/ (bird) 強勢の r 化母音。舌を後方やや反り気味に /r/ 的発音に変化。
/ɚ/ (butter) 弱勢の r 化母音。日本語「ア」と全く違う。flap と連動しやすい。

二重母音(滑り音)

IPA 実例 動き 説明
/eɪ/ (bait) /e/→/ɪ/ 短く滑る。日本語「エイ」より後半短い。
/oʊ/ (goat) /o/→/ʊ/ 日本語「オウ」より後半短く、丸め維持。
/aɪ/ (price) /a/→/ɪ/ 開始を低く大きく開く。
/aʊ/ (mouth) /a/→/ʊ/ 後半で丸める。
/ɔɪ/ (choice) /ɔ/→/ɪ/ 開始は丸め気味の「オ」。

r 付き(r-colored)複合

IPA 実例 動き 説明
/ɪɚ/ (near) /ɪ/ → /ɚ/ 母音+[ɚ]の一まとまり。終端でr化(舌端は触れない)。
/ɛɚ/ (square) /ɛ/ → /ɚ/ 開始母音の質を保ち、末尾でr色。
/ʊɚ/ (cure) /ʊ/ → /ɚ/ 短いウからr化へ。語により /kjʊr/ など変異。
/ɔɚ/ (north) /ɔ/ → /ɚ/ 丸めたオ始まり→r化。方言差大。
/ɑɚ/ (start) /ɑ/ → /ɚ/ 広いア始まり→r化。

英語の全方言で現れる子音一覧

破裂音 (Plosives)

IPA Examples 分類 説明 地方
/p/ pin, cap 無声両唇破裂音 両唇を閉じて破裂;語頭は強い息(帯気) 全般
/b/ bin, cab 有声両唇破裂音 /p/ と同動作だが声帯振動 全般
/t/ two, cat 無声歯茎破裂音 語頭は帯気;/s/ の後は無帯気(spin) 全般
/d/ do, ad 有声歯茎破裂音 /t/ の有声版 全般
[ɾ] water [ˈwɔɾɚ], ladder [ˈlæɾɚ] 歯茎はじき音
母音間異音(intervocalic realization)
/t, d/ が母音間や弱強境界で単一拍のはじきとして実現(GAで標準的)。 一般アメリカ英語・AAVE・他の方言で広く見られる。
/k/ key, back 無声軟口蓋破裂音 語頭は帯気;/s/ の後は無帯気(ski) 全般
/g/ go, bag 有声軟口蓋破裂音 /k/ の有声版 全般
[ʔ] bo[ʔ]le ≈ bottle 無声音声門破裂音 T-glottalization:/t/ が [ʔ] に置換 Cockney, Estuary, MLE, 米国 では
/t/ が子音前・音節末で可変
AAVE/GA 一部
[ʈ] thirty → [ˈθʌʈi] 無声反り舌破裂音 /t/ が反り舌化して現れる異音 アイルランド英語
インド英語
[ɖ] ladder → [ˈlæɖə] 有声反り舌破裂音 /d/ が反り舌化して現れる異音 アイルランド英語
インド英語
[ʔt] football → [ˈfʊʔt.bɔːl] 声門強化破裂音群 語末・子音前の /t/, /p/ が 声門閉鎖 [ʔ] と協調発音 スコットランド英語
北部英語
[ʔp] help please → [ˈhɛʔp pliːz] 声門強化破裂音群 語末・子音前の /t/, /p/ が 声門閉鎖 [ʔ] と協調発音 スコットランド英語
北部英語
[k͡p] akpa “bag” (loan) 無声両唇‐軟口蓋破裂音
(協同調音)
両唇と軟口蓋を同時に閉鎖して無声で破裂する音。
英語固有ではないが、西アフリカ英語やクレオールで借用語・固有名に現れる。
西アフリカ英語・ナイジェリアピジンなど
[ɡ͡b] agbada (name) 有声両唇‐軟口蓋破裂音
(協同調音)
両唇と軟口蓋を同時に閉鎖して有声で破裂する音。
英語固有ではないが、西アフリカ英語やクレオールで借用語・固有名に現れる。
西アフリカ英語・ナイジェリアピジンなど
[q] — (loanwords, Gaelic influence) 無声口蓋垂破裂音 極めて稀な接触方言に見られる発音。
舌の後部を口蓋垂で閉鎖して無声で破裂する音。極めて稀にガエル語影響下の英語で現れる。
スコットランド英語(ヘブリディーズ地方など)

破擦音 (Affricates)

IPA Examples 分類 説明 地方
/tʃ/ chin, match 無声後部歯茎破擦 「ch」=/t/ + /ʃ/ の一体化。 全般
/dʒ/ jam, badge 有声後部歯茎破擦 「j」=/d/ + /ʒ/ の一体化。 全般
[t͡ʃ] (< /tj/) tune → [t͡ʃ]une 派生破擦 Yod-coalescence(/tj/→[t͡ʃ]) 英 (特にCockney)
[d͡ʒ] (< /dj/) duty → [d͡ʒ]uty 派生破擦 /dj/→[d͡ʒ] 英 (特にCockney)
/ts/ tsunami, pizza 無声歯茎破擦 外来語に現れる;また cats → [kats] のように語末で強く破擦化 外来語全般
ヨークシャー/北部英語
/dz/ kids, adze 有声歯茎破擦 外来語や語尾の -s が有声子音後で [dz] となる場合 外来語全般
英米の一部
[t͡ɕ] Tuesday → [ˈt͡ɕuːzdeɪ] 無声硬口蓋破擦 /tʃ/ が/j/ の前で口蓋化して現れる異音 アイルランド英語
スコットランド英語
[d͡ʑ] duke → [d͡ʑuːk] 有声硬口蓋破擦 /dʒ/ が/j/ の前で口蓋化して現れる異音 アイルランド英語
スコットランド英語

摩擦音 (Fricatives)

IPA Examples 分類 説明 地方
/f/ (fine) 無声唇歯摩擦音 上歯を下唇に軽く当てる。 全般
/v/ (vine) 有声唇歯摩擦音 /f/ に声帯振動を加える。 全般
/θ/ (thin) 無声(舌端)歯摩擦 日本語に無い。 全般
/ð/ (this) 有声(舌端)歯摩擦 /θ/ と同形で声帯振動。 全般
/s/ (see) 無声歯茎摩擦 唇は平ら。 全般
/z/ (zoo) 有声歯茎摩擦 /s/ の有声版。 全般
/ʃ/ (she) 無声後部歯茎摩擦 舌をやや後ろ,唇を軽く丸める。 全般
/ʒ/ (measure) 有声後部歯茎摩擦 外来語中心;語頭は稀。 全般
/h/ (hat) 無声声門摩擦 次の母音の口形で息だけ通す。 全般(※方言でh脱落が頻発)
[x] loch [lɔx], Bach 無声軟口蓋摩擦音 舌後部を軟口蓋に接近させて摩擦音を作る。 スコットランド英語
アイルランド英語
独語・希伯来語借用語
[ç] hue [çuː], human [ˈçjuːmən] 無声硬口蓋摩擦音 /hj/ のような環境で /h/ が口蓋化して現れる。 保守的な英語発音
注意深い発話
[ɦ] intervocalic ahead → [aˈɦɛd] 有声音声門摩擦音 /h/ が母音間で有声化して現れる。 アイルランド英語
北部英語
[ʍ] which [ʍɪtʃ] ≠ witch [wɪtʃ] 無声両唇‐軟口蓋摩擦音 /hw/ 由来の音;/w/ より摩擦的。whine–wine 対立を保持。 スコットランド
アイルランド
米南部
一部AAVE
[χ] loch [lɔχ] (強い方言) 無声口蓋垂摩擦音 [x] よりさらに後方の摩擦音。 スコットランド英語(ゲール語影響下)
[β] cabaña → [kaˈβaɲa] (loan) 有声両唇摩擦音 英語固有ではないがスペイン語などの借用語に現れる。 借用語発音
[ʁ] — (loanwords, Gaelic influence) 有声口蓋垂摩擦音/接近音 極めて稀な接触方言に見られる発音。
舌の後部を口蓋垂に近づけて摩擦または接近音を作る。有声で実現し、極めて限られた接触方言で観察される。
スコットランド英語(ヘブリディーズ地方など)

鼻音 (Nasals)

IPA Examples 分類 説明 地方
/m/ (me) 両唇鼻音 口を閉じて鼻へ共鳴。 全般
/n/ (no) 歯茎鼻音 舌先を歯茎に当てる。 全般
/ŋ/ (sing) 軟口蓋鼻音 上顎に舌の奥を当てる。
先頭に表れない。
全般
※AAVE/南部/Cockney で
-ing → in’ の様に[ŋ]→[n] に変化
[ɱ] comfort [ˈkʌɱfət] 唇歯鼻音 /m/ が /f, v/ の前で唇歯化する異音。 全般
[n̪] tenth [tɛn̪θ] 歯鼻音 /n/ が 歯摩擦音の前で歯化する異音。 全般
[ɲ] onion [ˈʌɲjən] 硬口蓋鼻音 /n/ が /j/ の前で口蓋化して現れる異音。 一部の発音(注意深い発話など)
[ŋg] finger [ˈfɪŋgə] 鼻音+軟口蓋破裂音 /ŋ/ の後に [g] を保持する発音。
singer [ˈsɪŋə] のように [g] を脱落させる方言と対立。
北部英語・一部方言(singer/finger区別方言)

接近音 (Approximants)

IPA Examples 分類 説明 地方
/ɹ/ run [ɹʌn] 歯茎接近音 舌先は触れない(日本語ら行[ɾ]と別)。 全般
Cockney は語末・子音前で非R
/j/ yes [jɛs] 硬口蓋近接 「y」音;舌前部を上げる。 全般
英の一部で
/tj,dj/ と合流→Yod合流
/w/ we [wiː] 両唇・軟口蓋近接 丸唇+後舌の協調。 全般
[ʍ] which [ʍɪtʃ] ≠ witch [wɪtʃ] 無声両唇‐軟口蓋近接 /hw/ 由来の「息混じりの w」。
whine–wine対立を保持。
米南部の一部
スコットランド
アイルランド
一部AAVE
[ɻ] red→[ɻɛd]
road→[ɻoʊd]
right→[ɻaɪt]
反り舌接近音 (レトロフレックスR) 舌先を反らせて上顎に近づける発音(いわゆる「巻き舌R」)。 北米英語・一般アメリカ英語・AAVE
[ɹ̈] red→[ɹ̈ɛd]
road→[ɹ̈oʊd]
right→[ɹ̈aɪt]
中舌寄せR (バンチドR) 舌の中央を盛り上げるRの異音。レトロフレックスRの代替的実現。 北米英語、とくに中西部・GA
[w̥] quit [kw̥ɪt] 無声/w/ 異音 無声破裂音の直後で /w/ が無声化して現れる。 全方言(環境依存の異音)

側面接近音 (Lateral Approximants)

IPA Examples 分類 説明 地方・方言
/l/ light [laɪt], fill [fɪl] 歯茎側面接近音 語頭では「明るいL」[l]、語末や子音前では暗くなりやすい。 全般
[ɫ] — 暗いL(軟口蓋化) 舌後部を軟口蓋に近づける実現。語末・子音前で典型的に現れる。 英語全般・アメリカ英語広く
[w ~ ʊ̯ ~ o] people → [piːpo] 交替 Lのボーカリゼーション /l/ が語末で滑音や母音様の音に変化する。 コックニー、エスタリー、米国の一部方言
[l̩] bottle [ˈbɑːtl̩] 音節主音的L(シラビックL) /l/ が音節核として実現。特に歯茎破裂音の後で現れる。 一般アメリカ英語、英語全般
明るい [l] のみ — 方言的特徴 全ての位置で「明るいL」を保持し、暗くならない。 アイルランド英語、スコットランド英語
[ɫˠ] — 超暗いL(強い軟口蓋化/口蓋垂化) 通常の [ɫ] よりさらに暗い実現。舌後部が強く持ち上がり口蓋垂化する。 ロンドン(ブロード)、グラスゴー、都市方言

英語の方言の一覧

日本語名 日本語の解説
アメリカ英語 全米で広く使われる標準的な発音。地域色が薄く、中立的なアクセント(ニュースキャスター的な話し方)。
ニューヨーク英語 ニューヨーク市を中心とする都市型の英語。高めの /ɔ/(coffee など)、短母音 /æ/ の分裂(bad と bat の対立)、独特のイントネーション。高齢層は非R音声、若年層ではR音声化が進む。
ユダヤ系米国英語 ユダヤ系米国人に結びつく英語。語彙・談話標識・イントネーションにイディッシュ語やヘブライ語の影響。NYC英語と重なる場合もあり、地域・共同体による差が大きい。
アメリカ南部方言 米国南部で話される英語。古い世代では非R音声が多く、二重母音の単母音化や特徴的な母音変化が見られる。
アフリカ系米国英語/黒人英語 アフリカ系アメリカ人の共同体で発達した体系的な変種。子音連結の簡略化、習慣的 be の使用、独特の音韻体系が特徴。
ボストン英語 ニューイングランド東部の変種。非R音声(「pahk the cah」)、前寄りの /a/(car)、侵襲的R、独自の短母音 /æ/ の体系が特徴。
西部アメリカ英語 米国西部全体に広がる比較的均質な変種。cot–caught の母音合流が見られる。
アパラチア英語 アパラチア地域で話される独自の変種。古風な語彙、a-接頭辞 (a-running)、強い母音変化が特徴。
中西部(五大湖地方)英語 シカゴ・デトロイト・バッファローなど五大湖地方で話される。北方都市母音推移(Northern Cities Vowel Shift)が知られるが、若年層では衰退傾向。
オーストラリア英語 オーストラリアで話される国家的変種。非R音声で、イギリス英語の影響を受けつつ独自の母音変化がある。
カナダ英語 カナダで話される英語。R音声を保持し、GAに近いが、about が [əˈbʌʊt] となるなどカナダ特有の母音上げがある。
スコットランド英語 スコットランドで話されるR音声の英語(スコットランド・ゲール語とは別)。[ʍ] と [w] の対立、弾音 /r/ の保持、独特の母音体系がある。
アイルランド英語 アイルランドで話される英語。一般にR音声を保持し、THストッピング(think → tink)、FACE/GOAT 母音の単母音化、歌うようなイントネーションが特徴。
北部英語(イングランド) イングランド北部の非南部方言の総称。trap–bath 分裂がなく、bus や cup の母音が短い。
ジョーディー英語(ニューカッスル英語) タインサイド地方の独自の変種。母音の独特な実現、上昇イントネーション、強い地域語彙が特徴。
ヨークシャー英語 ヨークシャー地方の変種。thee/thou 代名詞、定冠詞の短縮 (t’pub)、平坦なイントネーションが特徴。
ウェールズ英語 ウェールズで話される英語。歌うようなイントネーション、明確なR音声、ウェールズ語の音韻的影響がある。
容認発音英語 イギリスの伝統的な標準発音(権威的アクセント)。かつては広く使われたが、現在は使用者が減少。
多文化ロンドン英語 ロンドンで発達した多民族混交の変種。コックニーやエスチュアリ英語の特徴に加え、カリブ系・アフリカ系・南アジア系の影響を含む。
コックニー英語 ロンドン東部の労働者階級に根ざした伝統的な方言。ライミングスラング、h脱落、T声門化、非R音声が特徴。
河口域英語/エスチュアリ英語 テムズ川河口域を中心に広まった英語。RPとコックニーの中間的な特徴を持ち、T声門化や非R音声が見られる。
インド英語 インドで話される英語。現地言語の影響を受け、反り舌破裂音、モーラ的リズム、独特のイントネーションを持つ。
シンガポール英語(シングリッシュ) シンガポールで話される英語。中国語・マレー語の影響を受け、声調的なイントネーション、時制・相の単純化、コードスイッチングが見られる。
ニュージーランド英語 オーストラリア英語に近いが、独自の母音変化がある(例: fish and chips → [fʌʃ ənd ʧʌps])。
東アフリカ英語 ケニア・タンザニア・ウガンダなどで話される英語。一般にR音声を保持し、二重母音の単純化、THストッピング、子音連続の簡略化、モーラ的リズムが見られる。スワヒリ語などの影響が強い。
西アフリカ英語 ナイジェリア・ガーナ・シエラレオネなどで話される英語。多くはモーラ的リズムで、THストッピング(this → dis)、語末子音連続の簡略化、明瞭なR音声、声調言語の影響がある。
南アフリカ英語 独自の母音体系(例: kit → [kət])。白人南アフリカ英語やケープ・フラッツ英語など複数の下位変種がある。

英語の方言の略称

英語 日本語 英語名 日本語名
GA アメ般 General American アメリカ英語
NYCAmE アメNY New York City English ニューヨーク英語
JewAmE アメユ Jewish American English ユダヤ系米国英語
SAmE アメ南 Southern American English アメリカ南部方言
AAVE アメ黒 African American Vernacular English アフリカ系米国英語/黒人英語
BostAmE アメボス Boston English ボストン英語
WAmE アメ西 Western American English 西部アメリカ英語
AppAmE アメアパ Appalachian English アパラチア英語
MidwAmE アメミド Midwestern (Inland North) English 中西部(五大湖地方)英語
AusE オス英 Australian English オーストラリア英語
CanE カナ英 Canadian English カナダ英語
ScotE スコ英 Scottish English スコットランド英語
IreE アイ英 Irish English アイルランド英語
NEngE 北英 Northern English 英国北部英語(イングランド)
Geordie ジョー英 Geordie (Newcastle English) ジョーディー英語
YorkE ヨク英 Yorkshire English ヨークシャー英語
WelshE ウエ英 Welsh English ウェールズ英語
RP ブリ英 Received Pronunciation 容認発音英語
MLE 多英 Multicultural London English 多文化ロンドン英語
CockneyE コク英 Cockney コックニー英語
EstuaryE エス英 Estuary English 河口域英語/エスチュアリ英語
IndE イン英 Indian English インド英語
SgE シン英 Singapore English (Singlish) シンガポール英語(シングリッシュ)
NZE ニュ英 New Zealand English ニュージーランド英語
EAffE 東ア英 East African English 東アフリカ英語
WAffE 西ア英 West African English 西アフリカ英語
SAffE 南ア英 South African English 南アフリカ英語

英語の方言による子音変化の一覧

英語名 日本語名 発音変化(IPA) 日本語での解説
TH-fronting THフロンティング /θ/ → [f] 無声歯擦音 /θ/ が 無声唇歯摩擦音 [f] に置き換わる。「thin」→ [fɪn]。
TH-stopping THストッピング /ð/ → [d] 有声歯擦音 /ð/ が 有声歯茎破裂音 [d] に変化する。「this」→ [dɪs]。
TH-fronting (voiced) 有声THフロンティング /ð/ → [v] 有声歯擦音 /ð/ が 有声唇歯摩擦音 [v] に変化する。「brother」→ [brʌvə]。
T-glottalization T声門化 /t/ → [ʔ] 無声歯茎破裂音 /t/ が 声門閉鎖音 [ʔ] に置き換わる。「butter」→ [bʌʔə]。
Flapping フラッピング /t, d/ → [ɾ] 母音間の 無声/有声歯茎破裂音 /t, d/ が 歯茎はじき音 [ɾ] として実現される。「water」→ [wɔɾə]。
-ing dropping -ing 脱落 /ŋ/ → [n] 語末の 軟口蓋鼻音 /ŋ/ が 歯茎鼻音 [n] に変化する。「walking」→ [wɔːkɪn]。
L-vocalization Lヴォーカリゼーション /l/ → [w, o] 音節末の 歯茎側面接近音 /l/ が母音的な音([w], [o])に変わる。「people」→ [piːpo]。
h-dropping h脱落 /h/ → ∅ 語頭の 声門摩擦音 /h/ が脱落する。「house」→ [aʊs]。
Yod-coalescence ヨッド合流 /tj, dj/ → [tʃ, dʒ] /tj/, /dj/ が 後部歯茎破擦音 [tʃ], [dʒ] に変化する。「tune」→ [tʃuːn]。
Yod-dropping ヨッド脱落 /juː/ → [uː] /juː/ の 硬口蓋接近音 /j/ が脱落する。「new」→ [nuː]。
wh–w contrast wh-wコントラスト /hw/ → [ʍ] 無声両唇軟口蓋接近音 [ʍ] と 有声両唇軟口蓋接近音 [w] の対立を保持する。「which」 [ʍɪtʃ] ≠ 「witch」 [wɪtʃ]。
Final cluster
simplification
多重末子音脱落 e.g. /-st/ → /-s/ 語末の 子音群 が簡略化される。「test」→ [tɛs]。
t-deletion t脱落 /nt/ → [n] /n/ の後の 無声歯茎破裂音 /t/ が脱落する。「winter」→ [wɪnə]。
Linking r リンキングr ∅ → [ɹ]
(word boundary)
語境界で母音間に 歯茎接近音 [ɹ] が挿入される。「law and order」→ [lɔːɹ ənd ɔːdə]。
Intrusive r 侵襲的R ∅ → [ɹ]
(epenthetic)
本来ない箇所に 歯茎接近音 [ɹ] が挿入される。「idea of」→ [aɪˈdɪəɹ əv]。
Non-rhoticity 非R音声 /ɹ/ → ∅ 音節末の 歯茎接近音 /ɹ/ が発音されない。「car」→ [kɑː]。
Retroflex/bunched r Rの反り舌/盛り舌 (different [ɹ] types) /r/ が 反り舌接近音(舌先を後方に反らす)や 束状接近音(舌全体を盛り上げる)で実現される。
Dentalization 歯音化 /t, d, n/ → [t̪, d̪, n̪] 歯茎破裂音/鼻音 /t, d, n/ が 歯音 [t̪, d̪, n̪] として実現される。「tenth」→ [tɛn̪θ]。

英語の方言による子音変化の地方別マトリックス

方言 THフロンティング THストッピング 有声THフロンティング T声門化 フラッピング -ing 脱落 Lヴォーカリゼーション h脱落 ヨッド合流 ヨッド脱落 wh–wコントラスト 多重末子音脱落 t脱落 リンキングr 侵襲的R 非R音声 Rの反り舌/盛り舌 歯音化
アメ般 子音前限定 あり タメ口 連音 あり タメ口 タメ口 可変
アメNY あり あり タメ口 末子音L化 あり 可変 タメ口 子音前限定 老化 可変 歯音同化
アメユ あり あり タメ口 末子音L化 あり 可変 タメ口 子音前限定 可変 可変 歯音同化
アメ南 可変 子音前限定 あり あり 末子音L化 連音 あり wh保持 タメ口 タメ口 老化 反り舌 歯音同化
アメ黒 末子音限定 あり 末子音限定 子音前限定 あり あり 可変 連音 アメ黒ヨッド wh保持 あり あり 可変 歯音同化
アメボス 子音前限定 あり タメ口 可変 可変 タメ口 子音前限定 侵襲的 侵襲的 老化 反り舌
アメ西 子音前限定 あり タメ口 連音 あり タメ口 タメ口 可変
アメアパ 可変 子音前限定 あり あり 末子音L化 連音 あり 老化 口語 子音前限定 可変
アメミド 子音前限定 あり タメ口 連音 あり タメ口 タメ口 可変
オス英 都市若者 都市若者 あり あり タメ口 あり あり あり 口語 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり 可変
カナ英 子音前限定 あり タメ口 連音 あり タメ口 タメ口 可変
スコ英 グラスゴー グラスゴー あり タメ口 あり あり 口語 子音前限定 可変 歯音同化
アイ英 ダブリン ダブリン 可変 可変 タメ口 可変 あり 口語 子音前限定 可変 あり
北英 都市若者 可変 都市若者 あり タメ口 可変 可変 あり あり 老化 口語 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり あり
ジョー英 都市若者 可変 都市若者 可変 タメ口 可変 可変 あり あり 老化 口語 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり あり
ヨク英 都市若者 可変 都市若者 あり タメ口 可変 可変 あり あり 老化 口語 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり あり
ウエ英 都市若者 可変 タメ口 可変 可変 可変 あり 口語 子音前限定 可変 可変 可変 歯音同化
ブリ英 子音前限定 タメ口 若年 あり 老化 口語 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり 歯音同化
多英 あり あり あり あり タメ口 あり 可変 あり 可変 あり 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり 歯音同化
コク英 あり あり あり あり あり あり あり あり 可変 あり あり 侵襲的 侵襲的 あり あり
エス英 あり 可変 可変 あり タメ口 あり 可変 あり 可変 あり あり 侵襲的 侵襲的 あり 歯音同化
イン英 あり 母音挿入傾向 あり
シン英 あり あり 口語 侵襲的 侵襲的 あり
ニュ英 都市若者 都市若者 あり あり タメ口 あり あり 可変 口語 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり
東ア英 あり あり 口語
西ア英 あり あり 口語
南ア英 あり タメ口 あり あり 可変 口語 子音前限定 侵襲的 侵襲的 あり 歯音同化
英語略称 日本語略称 日本語の解説
final 末子音限定 THフロンティングは主に語末子音で起こる(例:mouth → mouf)。
preC 子音前限定 子音前・語末の位置に限定される(例:button → [bʌʔn̩])。
informal タメ口 非形式的/日常会話で現れるが、必ずしも体系的ではない。
sandhi 連音 連続発話/連音環境で主に現れる(例:did you → dɪdʒu)。
var 可変 地域・集団・スタイルによって変動的であり、安定した特徴ではない。
older 老化 年長層に保持されるが、若い世代では衰退している。
urban 都市若者 都市部の若者に典型的な革新で、地方の話者には広がっていない。
linking 侵襲的 非R音声方言で母音間に侵襲的rが現れる。
after_alveolar 歯茎後脱落 歯茎音・冠状音の後でヨッド脱落が主に起こる(例:tune → tuːn)。
before_th 歯音同化 /t d n l/ が /θ ð/ の前で歯音化する(逆行同化=regressive assimilation)。
dublin ダブリン ダブリン英語ではアイルランド他地域よりTHストッピング/フロンティングが多い。
glasgow グラスゴー グラスゴー英語は他のスコットランド方言よりTHフロンティングが顕著。
wholder wh保持 wh–wの対立([ʍ] vs [w])は南部やアメ黒の年長層に保持され、他では失われた。
codaL 末子音L化 音節末(コーダ)でLが母音化する現象。
epenth 母音挿入傾向 子音連続の解消に脱落よりも母音挿入を好む傾向。
aave_yod アメ黒ヨッド 一部のアメ黒方言で /juː→uː の縮約が限定的に起こる。
younger 若年 若年層に多く見られる(例:若いRP話者、エスチュアリの影響)。
colloquial 口語 速い/口語的発話でのみ子音連続の簡略化や /t/ 脱落が生じる。
retroflex 反り舌 侵襲的末子音を発音する時、Rで反り舌を利用する。
bunched 盛り舌 侵襲的末子音を発音する時、Rで盛り舌を利用する。

IPAの全調音点(Places of Articulation)一覧

英語名 日本語名 日本語読み IPAの例 日本語の説明
Bilabial 両唇音 りょうしんおん [p, b, m, ɸ, β] 両唇を閉じる、または接近させて調音される子音。
Labiodental 唇歯音 しんしおん [f, v, ɱ, ʋ] 下唇と上歯を接触させて調音される子音。
Dental 歯音 はおん [t̪, d̪, n̪, θ, ð] 舌先あるいは舌端を歯に当てて調音される子音。
Alveolar 歯茎音 しけいおん [t, d, n, s, z, l, ɹ] 舌先または舌端を歯茎に当てて調音される子音。
Postalveolar 後部歯茎音 こうぶしけいおん [ʃ, ʒ, t͡ʃ, d͡ʒ] 舌端を歯茎の後部に接近させて調音される子音。
Retroflex 反舌音 はんぜつおん [ʈ, ɖ, ɳ, ʂ, ʐ, ɭ, ɽ] 舌先を反らせて硬口蓋方向に向け、歯茎付近で調音される子音。
Palatal 硬口蓋音 こうこうがいおん [c, ɟ, ɲ, j, ç, ʝ] 舌の前部を硬口蓋に接近させて調音される子音。
Velar 軟口蓋音 なんこうがいおん [k, g, ŋ, x, ɣ, ɰ] 舌後部を軟口蓋に接触または接近させて調音される子音。
Uvular 口蓋垂音 こうがいすいおん [q, ɢ, χ, ʁ, ʀ, ɴ] 舌後部を口蓋垂に接触または接近させて調音される子音。
Pharyngeal 咽頭音 いんとうおん [ħ, ʕ] 舌根を咽頭壁に接近させて調音される子音。
Epiglottal 喉頭蓋音 こうとうがいおん [ʡ, ʜ, ʢ] 喉頭蓋を咽頭壁に接触または接近させて調音される子音。
Glottal 声門音 せいもんおん [ʔ, h, ɦ] 声門において声帯を開閉・接近させることによって調音される子音。

IPAでの全調音法(Manners of Articulation)一覧

英語名 日本語名 日本語読み IPAの例 日本語の説明
Plosive (Stop) 破裂音 はれつおん [p, b, t, d, k, g, q, ɢ, ʔ] 調音器官を完全に閉鎖し、その後に開放することで生じる子音。
Nasal 鼻音 びおん [m, n, ɲ, ŋ, ɴ] 口腔を閉鎖し、鼻腔に気流を通すことによって生じる子音。
Trill ふるえ音 ふるえおん [r, ʀ, ʙ] 調音器官が連続的に振動して生じる子音。
Tap / Flap はじき音 はじきおん [ɾ, ɽ] 調音器官が一度だけ瞬間的に接触して生じる子音。
Fricative 摩擦音 まさつおん [f, v, s, z, ʃ, ʒ, x, ɣ, χ, ʁ, h, ɦ, ħ, ʕ] 狭められた調音器官の間を気流が通過し、摩擦によって生じる子音。
Lateral Fricative 側面摩擦音 そくめんまさつおん [ɬ, ɮ] 舌の中央を閉鎖し、側面に狭い通路を作って摩擦を伴う気流を通すことによって生じる子音。
Approximant 接近音 せっきんおん [j, w, ɹ, ɰ] 調音器官が接近するが、摩擦を生じるほどには狭まらない子音。
Lateral Approximant 側面接近音 そくめんせっきんおん [l, ʎ, ʟ] 舌の中央を閉鎖し、側面を開放して気流を通すことで生じる子音。
Affricate (combined) 破擦音 はさつおん [t͡s, d͡z, t͡ʃ, d͡ʒ] 破裂の直後に摩擦を伴う一連の調音として生じる子音。

1. 破裂音 (Plosives)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
p voiceless bilabial plosive 無声両唇破裂音 むせいりょうしんはれつおん
b voiced bilabial plosive 有声両唇破裂音 ゆうせいりょうしんはれつおん
t voiceless alveolar plosive 無声歯茎破裂音 むせいしけいはれつおん
d voiced alveolar plosive 有声歯茎破裂音 ゆうせいしけいはれつおん
ʈ voiceless retroflex plosive 無声反り舌破裂音 むせいそりじたはれつおん
ɖ voiced retroflex plosive 有声反り舌破裂音 ゆうせいそりじたはれつおん
c voiceless palatal plosive 無声硬口蓋破裂音 むせいこうこうがいはれつおん
ɟ voiced palatal plosive 有声硬口蓋破裂音 ゆうせいこうこうがいはれつおん
k voiceless velar plosive 無声軟口蓋破裂音 むせいなんこうがいはれつおん
g voiced velar plosive 有声軟口蓋破裂音 ゆうせいなんこうがいはれつおん
q voiceless uvular plosive 無声口蓋垂破裂音 むせいこうがいすいはれつおん
ɢ voiced uvular plosive 有声口蓋垂破裂音 ゆうせいこうがいすいはれつおん
ʡ voiceless epiglottal plosive 無声喉頭蓋破裂音 むせいこうとうがいはれつおん
ʔ glottal stop 声門閉鎖音 せいもんへいさおん

2. 鼻音 (Nasals)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
m bilabial nasal 両唇鼻音 りょうしんびおん
ɱ labiodental nasal 唇歯鼻音 しんしびおん
n alveolar nasal 歯茎鼻音 しけいびおん
ɳ retroflex nasal 反り舌鼻音 そりじたびおん
ɲ palatal nasal 硬口蓋鼻音 こうこうがいびおん
ŋ velar nasal 軟口蓋鼻音 なんこうがいびおん
ɴ uvular nasal 口蓋垂鼻音 こうがいすいびおん

3. 震え音 (Trills)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
ʙ bilabial trill 両唇ふるえ音 りょうしんふるえおん
r alveolar trill 歯茎ふるえ音 しけいふるえおん
ʀ uvular trill 口蓋垂ふるえ音 こうがいすいふるえおん

4. はじき音 (Taps/Flaps)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
ⱱ labiodental flap 唇歯はじき音 しんしはじきおん
ɾ alveolar tap/flap 歯茎はじき音 しけいはじきおん
ɽ retroflex flap 反り舌はじき音 そりじたはじきおん

5. 摩擦音 (Fricatives)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
ɸ voiceless bilabial fricative 無声両唇摩擦音 むせいりょうしんまさつおん
β voiced bilabial fricative 有声両唇摩擦音 ゆうせいりょうしんまさつおん
f voiceless labiodental fricative 無声唇歯摩擦音 むせいしんしまさつおん
v voiced labiodental fricative 有声唇歯摩擦音 ゆうせいしんしまさつおん
θ voiceless dental fricative 無声歯摩擦音 むせいしまさつおん
ð voiced dental fricative 有声歯摩擦音 ゆうせいしまさつおん
s voiceless alveolar fricative 無声歯茎摩擦音 むせいしけいまさつおん
z voiced alveolar fricative 有声歯茎摩擦音 ゆうせいしけいまさつおん
ʃ voiceless postalveolar fricative 無声後部歯茎摩擦音 むせいこうぶしけいまさつおん
ʒ voiced postalveolar fricative 有声後部歯茎摩擦音 ゆうせいこうぶしけいまさつおん
ʂ voiceless retroflex fricative 無声反り舌摩擦音 むせいそりじたまさつおん
ʐ voiced retroflex fricative 有声反り舌摩擦音 ゆうせいそりじたまさつおん
ç voiceless palatal fricative 無声硬口蓋摩擦音 むせいこうこうがいまさつおん
ʝ voiced palatal fricative 有声硬口蓋摩擦音 ゆうせいこうこうがいまさつおん
x voiceless velar fricative 無声軟口蓋摩擦音 むせいなんこうがいまさつおん
ɣ voiced velar fricative 有声軟口蓋摩擦音 ゆうせいなんこうがいまさつおん
χ voiceless uvular fricative 無声口蓋垂摩擦音 むせいこうがいすいまさつおん
ʁ voiced uvular fricative 有声口蓋垂摩擦音 ゆうせいこうがいすいまさつおん
ħ voiceless pharyngeal fricative 無声咽頭摩擦音 むせいいんとうまさつおん
ʕ voiced pharyngeal fricative 有声咽頭摩擦音 ゆうせいいんとうまさつおん
ʜ voiceless epiglottal fricative 無声喉頭蓋摩擦音 むせいこうとうがいまさつおん
ʢ voiced epiglottal fricative 有声喉頭蓋摩擦音 ゆうせいこうとうがいまさつおん
h voiceless glottal fricative 無声声門摩擦音 むせいせいもんまさつおん
ɦ voiced glottal fricative 有声声門摩擦音 ゆうせいせいもんまさつおん

6. 側面摩擦音 (Lateral Fricatives)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
ɬ voiceless alveolar lateral fricative 無声歯茎側面摩擦音 むせいしけいそくめんまさつおん
ɮ voiced alveolar lateral fricative 有声歯茎側面摩擦音 ゆうせいしけいそくめんまさつおん

7. 接近音 (Approximants)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
ʋ labiodental approximant 唇歯接近音 しんしせっきんおん
ɹ alveolar approximant 歯茎接近音 しけいせっきんおん
ɻ retroflex approximant 反り舌接近音 そりじたせっきんおん
j palatal approximant 硬口蓋接近音 こうこうがいせっきんおん
ɰ velar approximant 軟口蓋接近音 なんこうがいせっきんおん

8. 側面接近音 (Lateral Approximants)

IPA English Name 日本語訳 ひらがな
l alveolar lateral approximant 歯茎側面接近音 しけいそくめんせっきんおん
ɭ retroflex lateral approximant 反り舌側面接近音 そりじたそくめんせっきんおん
ʎ palatal lateral approximant 硬口蓋側面接近音 こうこうがいそくめんせっきんおん
ʟ velar lateral approximant 軟口蓋側面接近音 なんこうがいそくめんせっきんおん

英語の音韻学の用語集

調音点(Places of Articulation)

英語用語 (Term) 日本語名 日本語説明
Alveolar 歯茎音 舌を上前歯のすぐ後ろの歯茎に当てて発音する音。例: /t, d, n, s, l/
Dental 歯音 舌を歯に当てて発音する音。例: /θ, ð/
Labiodental 唇歯音 下唇を上の歯に当てて発音する音。例: /f, v/
Velar 軟口蓋音 舌の後部を軟口蓋に当てて発音する音。例: /k, g, ŋ/
Glottal 声門音 声門で作られる音。例: [ʔ](声門閉鎖音)
Retroflex 反り舌音 舌先を後ろに反らせて口蓋方向に近づけて発音する音。例: [ɻ]
Palatal 硬口蓋音 舌を硬口蓋に近づけて発音する音。例: [j]
Palato-alveolar 歯茎硬口蓋音 舌の中部を歯茎の後ろで硬口蓋寄りに当てて発音する音。例: [tʃ], [dʒ]

調音様式(Manners of Articulation)

英語用語 (Term) 日本語名 日本語説明
Stop (Plosive) 破裂音 息の流れを完全に止めて破裂させて出す音。例: /p, t, k/
Fricative 摩擦音 狭い隙間を通る息が摩擦して出る音。例: /f, s, θ/
Affricate 破擦音 破裂音から摩擦音に移行して発音される音。例: [tʃ], [dʒ]
Nasal 鼻音 息が鼻から流れて出る音。例: /m, n, ŋ/
Approximant 接近音 調音器官が接近するが閉鎖や摩擦は起きない、母音に似た子音。例: /l, ɹ, j, w/
Tap/Flap はじき音 ごく短い接触で発音される音。例: アメリカ英語 water の [ɾ]
Glottal stop 声門閉鎖音 声門を閉じて発音する音。例: [ʔ]
Vowel 母音 声道が開いて発音され、音節の核となる音。

音声過程(Phonological Processes)

英語用語 (Term) 日本語名 日本語説明
Deletion (∅) 脱落 音が発音されなくなる現象。例: h-dropping
Insertion / Epenthetic 挿入(介入音) 本来ない音が加えられる現象。例: intrusive r
Assimilation 同化 隣接する音に影響されて似た音に変化する現象。例: /t/ → [t̪](/θ/ の前)
Vocalization 母音化 子音が母音的な音に変化する現象。例: /l/ → [o]
Palatalization 硬口蓋化 調音位置が硬口蓋寄りに移動する現象。例: /tj/ → [tʃ]
Cluster simplification 子音連続簡略化 子音の連続が単純化される現象。例: /-st/ → /-s/

その他の基本用語(Other Key Terms)

英語用語 (Term) 日本語名 日本語説明
Voiced 有声 声帯が振動して発音される音。例: /b, d, v/
Voiceless 無声 声帯が振動しない音。例: /p, t, f/
Rhoticity R音性 /r/ 音が発音されるかどうかの性質
Linking リンキング 語の境界で母音と母音の間に /r/ が挿入される現象
Contrast 対立 音の違いによって意味が変わる現象。例: witch と which

目次

  • 超グルーヴハイパーグルーヴ理論
    • はじめに
    • グルーヴ四原則とは
    • 何故日本人は縦乗りなのか
    • 強拍が先か弱拍が先かリズモクロニック・アナリシス
    • 音韻学的音楽分析フォノリズマトロジー
    • 日本人モーラ拍リズム言語話者への手紙
    • 分裂拍シゾリスモスと孤立拍ソリリスモス
    • 韻律ミータとは
    • 多層弱拍基軸律動Multi-Layered Weak-Beat Precedence
    • 多次元ディヴィジョン空間
    • 発音よりもリズムの正確さ
    • 世界は3⁻ⁿ拍子で出来ている
    • 3⁻ⁿグルーヴと2⁻ⁿグルーヴ
    • 分散グルーヴ理論
    • 弱拍天動説と強拍地動説
    • オフビートカウント入門
    • リズム認識型とリズム感
    • オフビートカウントで英語リスニングを極める
    • 日本人モーラ拍リズム言語話者の為のエチュード
    • 英語の正しい発音法
    • オフビートカウントの正しい発音
    • 多層弱拍先行ポリリズム
    • 縦乗りのメカニズム
    • 日本語話者の認識偏り
    • 縦乗りの精神構造
    • 縦乗りの存在に気付く
  • 律武道リズムドウ入門の御案内
  • 律武道リズムドウとは
日本人モーラ拍リズム言語話者の為のエチュード
オフビートカウントの正しい発音

© 2018-2025 律武道 — All rights reserved.

 

|律武道について |運営者 |連絡先 |問い合わせ |免責事項 |
|プライバシーポリシー |Cookie Policy |Cookie Settings |