リズム認識型とリズム感
8分音符1つ分はやくカウントするオフビートカウントを練習すると、すぐにできようになる人と、長期間に渡ってなかなかできないままの人の二手にはっきりと分かれます。「リズム感がある」「リズム感がない」と言ってしまえばそれまでですが、出来る様になる人はすぐ出来る様になるのに対して、出来る様にならない人は数年単位の時間を掛けてもあまり変化が表れません。
この様な違いが生まれる原因は、その人がもともと持っていたリズム認識型 の種類の違いによると考えられます。 人間が持っているリズム認識型には様々な種類のものがあります。このリズム認識型は、あたかもポケモンカードの様に様々な種類があり、人によってそれらのカードを持っている数も異なります。
この中でオフビートカウントに必要なリズム認識型を全て持っている人は、直ぐにオフビートカウントが出来るようになり、必要なリズム認識型を持っていなければ、なかなか出来るようになりません。
つまりオフビートカウントに必要なリズム認識型を訓練によって順番に習得することによって、順序立ててオフビートカウントの習得することが出来ます。そしてオフビートカウントに習熟することで、更に様々なリズム認識型を身に付けて様々なグルーヴを演奏出来る様になります。
では、リズム認識型とは一体どのようなものでしょうか。
リズム認識型とは
主だったリズム認識型にはいくつかの種類があります。
- 弱拍先行リズム認識型
- 1次元=シラブル拍リズム弱拍先行リズム認識型
- 2次元=ストレス拍リズム弱拍先行リズム認識型
- 3次元=アフリカ型リズム弱拍先行リズム認識型
- 強拍先行リズム認識型
- 強拍先行弱拍先行切り替えリズム認識型
- 尻合わせリズム認識型
- ※ 尻合わせリズム認識の最大長 16分音符〜8小節まで
- 頭合わせリズム認識型
- 頭合わせ尻合わせ切り替えリズム認識型
- 強拍基軸リズム認識型
- 弱拍基軸リズム認識型
オフビートカウントに必要なリズム認識型のなかで最も重要で、最も習得が難しいものは 弱拍先行 です。
シラブル拍リズム弱拍先行リズム認識型
シラブル拍リズムには、頭音節最大化原則(MPOP=Maximal Prosodic Onset Principle) という発音規則があります。全ての末子音は、隣接する頭子音にまとめて発音するという規則です。 これはリンキングとも呼ばれます。これは音楽的に見ると弱拍先行と等しいと考えられます。 ここではシラブル拍リズム弱拍先行 と呼びます。 そしてこのシラブル拍弱拍先行を認識する能力をここでは シラブル拍リズム弱拍先行リズム認識型と呼びます。
ストレス拍リズム弱拍先行リズム認識型
ストレス拍リズムには 頭音節最大化原則(MPOP=Maximal Prosodic Onset Principle) という発音規則があります。全ての末音節は、隣接する頭音節にまとめて発音するという規則です。これも音楽的に見ると弱拍先行と等しいと考えられます。 このことをここでは ストレス拍リズム弱拍先行 と呼びます。そしてこの ストレス拍リズム弱拍先行 を認識する能力をここではストレス拍リズム弱拍先行リズム認識型と呼びます。
アフリカ型リズム弱拍先行リズム認識型
これは音韻学としては存在しない拍リズムです。またアフリカの音楽には存在しないリズムでもあります。音楽には、音韻学で説明できる単層の拍リズム、複層の拍リズムだけでなく、3重4重の層になった拍リズムが存在します。 これらは70年代以降にファンクというジャンルで発展し、その後の時代の音楽に影響を与えました。 ─── この3重以上の多層になった弱拍先行のことを、ここではアフリカ拍リズム弱拍先行と呼びます。
アフリカ拍リズム弱拍先行は、言語のリズムを越えた領域にあると考えられており、発音練習では取り扱いません。メタディヴィジョン以降での練習で取り扱います。
シラブル拍リズム等時性リズム認識型
シラブル拍リズムには、子音の数が増減しても母音が現れるタイミングは必ず等しいという規則です。 このことを等時性( Isochrony ) と呼びます。 特にここでは、次で説明するストレス拍の等時性と区別し シラブル拍リズム等時性 と呼びます。 これを認識するリズム認識型が シラブル拍リズム等時性リズム認識型 です。
アフリカ拍リズム等時性リズム認識型
ストレス拍リズムには、前後に付属するシラブルが増減してもストレスを持ったシラブルの間隔は必ず等しいという規則があります。このことを等時性と呼びます。特にここでは、前で説明したシラブル拍の等時性と区別し ストレス拍リズム等時性 と呼びます。 これを認識するリズム認識型が ストレス拍リズム等時性リズム認識型 です。
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